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晴れのち

晴れのち

2019|26min|ドラマ

ストーリー

高校二年生の三田晴子は、父と年の離れた弟との三人暮らし。早くに母を亡くしたその家で、晴子は母親代わりとして家族を支えてきた。家事や子育てをこなしていくうちに、いつしか彼女は、父に淡い恋心を抱いていた。その晴子の前に現れたのは、叔母の宏美だった。新しい母親役として、今まで築いてきた居場所を宏美に奪われていく晴子。ついに父への想いを隠しきれなくなり、平和な家庭は壊れはじめる。晴子の想いは、父に届くのか……

イントロダクション

父親とまだ幼い弟と三人暮らしの女子高生・三田晴子。年の離れた弟の面倒を見ることで、早くに母を亡くした寂しさを埋め合わせ続けてきた彼女には、家族の母親役としての気持が芽生えていた。そしていつしか晴子は、父親へ淡い恋心を抱くようになる。家族とは、愛情とは、恋とはなにか。自らの衝動を抑えきれなくなった晴子が出した答えとは……。

主人公の晴子を演じるのは、小泉理沙子。小泉は、脚本にはない鬱屈とした晴子の一面を表現し、他人には言えない父親への恋心を秘めた少女を体現した。対して父親を演じるのは、岩戸秀年。岩戸は、現場で他の俳優をリードしながら、家族を支えようとする父親を演じきり、さらに小泉の繊細で魅力的な表情を引き出した。「父親への恋」をモチーフにした本作に、実感を持てないことが脚本段階から問題視された。監督の尾﨑優一もまた、晴子の感情をいかに身近なものとして引き寄せるかに悩みながら、純粋な恋の物語を完成させた。また、作品の七割が家を舞台にした本作。美術は、一見どこにでもありそうな家庭の生活感を見せつつ、同時に母を亡くした家であり、娘が父に恋した土壌を築いた家を表現することに、苦しみぬいた。大規模なオープンナイターには、撮影照明部だけにとどまらず大勢の応援が駆けつけ、クライマックスへの大きな見どころを作り上げた。様々な困難を乗り越えて完成した映画『晴れのち』。一人の純粋な少女の想いが、あなたの心を動かす。

キャスト

小泉理沙子

岩戸秀年

森山晟亜

華みき

見津賢


大陸虹けい

白木孝宜

城美うら

スタッフ

監督:尾﨑優一

プロデューサー:原田涼

脚本:仮屋光平

撮影:田中慎也

照明:羽鳥孝幸

録音・音楽:大村知也

編集:平上涼太

記録:小林美紅

助監督:清水彩香

監督助手:河合健太郎、額田竜之介

撮影助手:小堀慎太郎、三條和真

照明助手:小田高裕

録音助手:長田歩未、伊藤響、寺田夏帆

編集助手:吉原耕佑、万宇(合成)、小林美紅、絹笠凌也

アシスタントプロデューサー:寺本郁美

制作:金親春香、野原康平

車両:山中同


撮影応援:小椋結貴、甘地、国兼祐花、志田有利、須原亜斗夢、田中丈尊、山中丈義

協力:Flash Up,inc. 、NEWSエンターテイメント、アクターズ・ヴィジョン、アンカット、株式会社イプシロン、有限会社ネスト、CLEO、PLATINUM PRODUCTION、イオンモール大和鶴間、河合家のみなさん、クリエイトS・D藤沢湘南台二丁目店、狛江市ロケーションサービス、長福寺、田園調布学園大学、白山一丁目第1管理組合、一般社団法人白山まちづくり協議会、高津装飾美術株式会社、株式会社日映装飾美術、宗特機、青木玲、小野秋星、天願大介、山田優希也

車両協力:バルクレンタカーアンドセールス

グレーディング協力:(株)IMAGICA 山口登

エキストラ協力:青柳佐知子、淺井天音、阿部友馬、家永恵理、石井健斗、宇多田遥、小田智哉、河合佐保子、菅野宗一郎、木村亜香里、木村悠希、郷田健、小嶋沙織、後藤美貴子、小柳暁子、齋藤祐司、坂口天斗、関麻衣子、高橋香緒里、高橋美希、高橋裕成、竹内菜々子、月田智樹、寺島由香、栂野道之、西原美雪、野原美穂子、本間結衣、増田嵩虎、三谷健人、緑川里子、村上裕亮、持丸奨之、矢野裕大、山田莉菜、横山葵、吉田美智子

監督コメント

初めまして。『晴れのち』を監督した尾﨑優一です。

この映画の主人公、晴子が想いをよせるのは、実の父親です。もしみなさんの身近な誰かが自分の父親を好きと言っていたら「気持ち悪い」「そんなことよくない」などと思う人もいるでしょう。僕もこの作品に出会うまではそう考えていました。誰もが一度は経験したことのある「好き」という思い。同じ学校、同じ職場、友人の知り合い、好きになるきっかけや出会いは人それぞれでしょう。晴子の父親に対する思いは美しく愛しいものでした。僕は「誰を好きになっても、構わない」と脚本を読んだときに感じ、見るお客さんにそのことを伝えるためにこの作品に向き合いました。

この映画は男女の恋愛映画なわけでもないし、かといって家族映画ってものにしたいわけでもなかった。この作品ならではの何かを描かなくてはと思った。そのために監督として晴子の純粋な気持ち「好き」ということがこの作品にとって大事と思い、そのことを中心に考え始めました。しかし、「好き」ってことにも様々な種類があることに晴子や他の人物を通して気づかされました。宗平が晴子に対する娘としての好き、晴子が明人に対する母性としての好き、晴子が宗平に対しての、恋愛としての好き。どれも同じ好きであるには変わりはなかった。だからこそ、そこにズレが生じることに、切なさがあった。しかしそこが魅力になることも確信した。僕はその時、心からこの家族を愛せた。

作品の中で、晴子の父・宗平が「お前は俺の大事な娘だ。大好きな娘だ」という台詞がある。何も知らずに聞いたらいい台詞ですが、晴子にとっては最も残酷で切ない台詞です。だからこそ僕はこの台詞に力を入れました。ここで見る人に何かを伝えれると思って。

脚本の直しの時は脚本家と夜な夜な討論しました。晴子を中心に、自分たちが表現したいことを人に伝えるにはどうしたらよいのか、そのことを深く考えました。撮影の時は脚本の人物や空気感を具体化することに悩みました。人物の感情を安直な言葉ではなく、仕草や行為、視線のやりとりで表現するにはどうしたらよいのか、と。毎日不安で眠れないほどでした。しかしスタッフや役者さんの助けがあり、諦めず試行錯誤を重ねて撮り終えることができました。編集では、現場とは違う客観的な目線で『晴れのち』と向き合いました。音楽では晴子の感情を引き立たせるため、作曲家と話し何度も作り直してもらい、一音一音までこだわりました。整音では映画の空気感、音ならではの演出をすべく録音部と話し合いました。反省することは沢山ありますが、今持てるすべてのことは胸を張ってやりきったと言えます。

この四年間、何度も挫折をし、自分の不甲斐なさを恨む日もありました。でもまだ表現したいことがあるので今後も作品を撮り続けていきたいです。これからも辛い日々が訪れることを信じて。

監督:尾﨑優一

メインビジュアル

晴れのち

予告編

メイキング