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2019|26min|ドラマ
三十路の誕生日を目前に控える干物女の諸橋まち子は、20年前のロボットアニメ『THE GIANT O』をこよなく愛している。平日はOLとして働き、休日には数少ない友人の一人である友子と、タブレット越しに晩酌を共にするのがささやかな幸せ。当然、彼氏の一人もおらず、恋愛を面倒臭いと言いのけるまち子。友子からは恋愛をシャットアウトする様を「まるで鎖国」と心配される。そんなまち子に新たな出会いが訪れ……
アニメオタクで、恋愛はしたことないし興味もない。大好きなロボットアニメが観られればそれで幸せ。そう思っていたはずなのに、「30歳になったら"高齢処女"のレッテルがついちゃうよ」という言葉にグサっとくる。そんな彼女が、『鎖国のまち子』の主人公・諸橋まち子だ。
まち子は、清掃員の鈴木と職場で出会い、共通の趣味をきっかけに打ち解ける。期せずして人生初めての「恋愛」に巻き込まれていくことになるが、鈴木はあまりにも冴えない男だった……。
さらには謎のカリスマ上司も現れ、まち子に唐突なアプローチを仕掛けはじめる。にわかに膨らみ始めた期待と現実のギャップにもがきながら、まち子は否応なく変質してゆく。
「まち子という女性は、純粋なだけではない、もっと違う側面も持っているんだということを描きたかった」と監督は語る。
電話を切った後に、ひとり虚空を見つめる表情。鈴木に声をかけられ、笑顔を作って振り返る前の一瞬の表情。誰も知るはずのない彼女の一面を、カメラは確実に映し出す。
そして、子どものように無邪気に笑っていたまち子の「鎖国」が終わるとき、カメラに映る彼女は全く違う表情を見せるのだ。
自分勝手で子どもっぽいまち子だけど、彼女の悩みはきっと彼女だけのものじゃない。ちゃんと私を見て欲しい。でも私はあなたをちゃんと見ていただろうか?
そんなことに目をつぶって恋愛は続く。痛い、けれど愛おしい。これはまち子の、れっきとした恋愛物語。
笠原千尋
榛原亮
菊池隼人
今村雪乃
藤井隆太
月野木隆
伊藤充宏
藤木由衣(声の出演)
監督:和野瑞樹
プロデューサー:髙橋かれん
脚本:佐藤初那
撮影:須原亜斗夢
照明:山中丈義
録音:佐藤杏樹
編集:梅下洋武
記録:王佳
美術・衣装・メイク:劉勝男
助監督:藤井聖也
制作:山﨑倫大、張儷馨
演出助手:五島匠馬、西村麟太郎
撮影助手:外谷譲、甘地
録音助手:佐藤初那、五十嵐猛吏、畑中美玖、徐昊南
編集助手:游豊凱、内海侑夏、王佳
車両:李允石
音楽:ハク亜キッズ
ドローン撮影:酒井隆史
タイトルデザイン:劉月
制作応援:奥村駿、唐仁原朝乃、佐藤将、吉田大樹
照明応援:田中慎也、羽鳥孝幸、三條和真、小堀慎太郎、斎藤裕司、岩壁龍、春日拓真、八木健太
主題歌「大人になったって」 唄:ハク亜キッズ、作詞作曲:恩田環
劇中アニメーション「ジャイアント・オー」/デザイン:和野準輝、アニメーション制作:万宇、音楽:阿部友馬、フィギュア制作:杉山堅太郎、イメージボード制作:後閑悠太郎
ご協力頂いたエキストラの皆さん:河原慧、新濃健、柿岡朱香、ますいたかみち、水谷大輝、須崎賢一、伊藤雪成、岡本彗夢、秋元剛志、村井はるか、藤木由衣、高畑保弘、茂木美穂、鷹取尚志、内田愛、冨田智、いとうたかとし、劉佩琦、斉藤崇利、芳賀香織、佐藤衣莉、吉村礼子、田森靖二、江村福神、蓮田一樹、畑川貴恵、遠藤寛太、四分一優人、高澤奏、桑田憲吾、友部清太郎、矢野裕大
美術協力:高津装飾美術、芦原健介
車両協力:バルクレンタカーアンドセールス
グレーディング協力:(株)IMAGICA 山口登
キャスティング協力:オフィスモノリス、オフィスエルアール
ロケ地協力:株式会社アセットクルー、アーバン企画開発、東京富士大学、わらべ、川崎市アートセンター、シネマノヴェチェント、常盤仙食堂、GAILLARD、WATER HOTEL S 国立店
僕は今24歳ですが、まだ結婚はしていません。知り合いにも恋愛しようと思えばできるのに、コスパが悪いので付き合わない。面倒くさいから恋愛しない。彼女がいるのにメリットが無いので結婚しない。などという人が多い気がします。僕らが30歳になっても同じことを言っているかは疑問です。毎日仕事でコスパやメリットについて考える日々が嫌というほど続けば、恋をすることの尊さに気づくこともあるのではないかと思います。この作品のまち子のように30歳で恋をするのも40歳で恋をするのもその人の自由だと思います。
しかし、そういった事は僕には関心がありません。この作品はジャンルで言うとラブコメです。ただ、それだけではなく、一見純朴そうに見える主人公にダークな側面をもたせています。主人公のキャラクターの陰の側面を描く事は、スタッフ間での意見の相違もありましたが、これは僕が監督として自分自身に課した課題でした。
この作品に哲学的なメッセージはありませんが、比較対象の多いラブコメ映画の中で何か特徴を出そうと努力したのは事実です。メディアで流れているラブコメドラマはよくできている作品ばかりで、日本人のラブコメ・リテラシーもかなり高い時代だと思います。ですのでそういったジャンルが好きな方に、ぜひ厳しい目で観てほしい作品です。