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ぬぐえない血

ぬぐえない血

2020|30min|ドラマ

ストーリー

ぬぐえない血

母親から虐待を受けていた姉妹は互いに支え合いながら幼少期を生き抜いた。19年後、妹の名美はコンビニでアルバイトをしながら男たちの家を転々と過ごす。過去のトラウマから誰かを傷つけないため、人に心を許すことはなかった。ある日、唯一の家族で親友でもある姉・真菜が母親になることを決意し、家族としての「幸せ」を掴もうとする。追っていたはずの姉の背中は、いつからか見えなくなっていた。同じ血をひく二人の女性の行く末は──。

イントロダクション

ぬぐえない血

蒸し暑い真夏の夕暮れ、6歳の少女はタンスの中にいた。悪いことをするとお仕置きとして母親に腕を引っ張られ、タバコを腕に押し付けられ、叩かれた。暗闇から助けてくれるのはいつも2つ上の姉だった。お菓子の缶の救急箱で手当てをし、仕上げは可愛いシールで包帯を止めてくれた。
19年後、少女たちは女性へと成長した。25歳の妹・名美はコンビニでアルバイトをしながら男たちの家を転々としていた。対して姉・真菜は結婚し幸せな家庭を築いていた。そして、名美は姉が母親になる決意を目の当たりにする。

ぬぐえない血

児童虐待とその後の人生というテーマに挑んだ本作。昨今、虐待の報道を目にすることが多くなり、その悲惨さを感じた人は少なくないであろう。私たちは制作にあたって現代社会の問題はもちろん、根幹にある姉妹の関係、そして名美という一人の女性と向き合わなければならなかった。監督・杉山卓は一つ一つのセリフの合間にある感情の流れを意識した。いつも言い訳をし、人に強く当たってしまう名美が持つ愛くるしさを引き出そうとしたのだ。主演・大田恵里圭は名美が抱える想いと表に出す態度の違いを繊細に表現し、時にはスタッフも圧倒されるパワーで気持ちをぶつけた。

ぬぐえない血

助け合って生きてきた姉妹はいつしかそれぞれの道を歩んでいた。姉は母のように孤独を抱え込まないために、家族としての「幸せ」を求め、妹は母のように誰かを傷つけないため、孤独を抱え「幸せ」から逃げた。同じ血をひく二人の女性の行く末は…。

キャスト

大田恵里圭

八木橋聡美

丸林孝太郎
川上健人
中西柚貴

岡本拓真

上杉美風
渡邊杏奈

松村廉
松川航大
佐藤大真
林ななみ
遠藤成弥
南三奈惠
南裕子
南はな芽
南翔真
尾形稜太
原田大瑚
諏訪拓磨

スタッフ

監督:杉山卓
プロデューサー:成見玲菜
脚本:坂口天斗
撮影:岩壁龍
照明:春日拓真
録音:畑川貴惠
編集・記録:磯野友宏
助監督:沖田ももの、藤井宏亮、水谷大稀
制作:三澤昇平、李佳倫
撮影助手:齊藤祐司、董智遠
照明助手:吉田一真、叶凌峰
録音助手:落合亜寿嘉、石上楓大、福田拓海
編集助手:潘志揚
車両:山中同
音楽:青山涼
タイトルデザイン:岡村芳希


グレーディング:(株)IMAGICA 山口登
キャスト協力:バウムアンドクーヘン、映画24区、スマイルモンキー、夢工房、劇田東俳、ギフト、クレヨン
ロケ地協力:有限会社ニシキ商事、有限会社盛清酒店、(株)フラワーランド海老名店、コミック庵ぽらん×ぽらん八王子店、青い屋根 金子様 松川様 林武士様
美術協力:株式会社日映装飾美術、高津装飾美術株式会社
車両協力:バルクレンタカーアンドセールス

監督コメント

こんにちは。監督を務めました杉⼭卓です。

卒業製作の脚本の⼀次審査を通った4本のうち坂口天斗が書いたこの『ぬぐえない⾎』を⼀番はじめに読みました。
読み終えて、名美のキャラクターの印象がとても強く残ったのを今でも覚えています。
脚本の中にいた彼女はとても⼈間らしく魅⼒的に感じました。

しかし私たちは、この作品を作っていく上で大きな問題をいくつか抱えていました。
まず第一に「虐待」について全く知識がなかったこと。
これに関しては悩んでも仕方ないと思い、とにかく本や、ネットに載っている記事などを読みました。そして次の問題にぶつかりました。
専門的な知識を必要とする「虐待」というものがお話の中にある上で、お客さんに名美のことを理解してもらえるのか?主人公の名美は虐待のトラウマを持ったキャラクターですが「虐待を受けた人間だから」というふうに観客に距離をとって欲しくなかったのです。
そこからは、名美のキャラクターの中に、多くの人が理解できる部分を見つけられるかを必死に考えました。
私が、脚本を読んで感じた名美の魅力をどう言語化し、どう映像化していくのか?というところがとても難しい部分でした。
主演の太田恵里圭さんは、名美がずっと築き続けてきた硬さと脆さの壁、その内側に抱えてきた弱さ、そしてそこに秘められた愛おしさを見事に表現してくださいました。
それでも、撮影は全て順調に進んでいくわけではなく、常に、これで正しいのか、面白くなるのか?ということを考えていました。しかし、監督というのはOKかNGかを決める職業です。常に悩みながらも、スタッフが目指すゴールを示さなければならないというのがとても大変だった部分であり、同時に最高に魅力的な仕事だなと感じました。

この作品を見てくださる人へ、「ぬぐえない血」にはこの作品に関わる全ての人の決断、選択が映像として流れます。こんな話、ストーリーには直接関係はありません。
しかし、見えてこなくてもそこには存在しているということを頭の片隅に置いてみていただければ幸いです。

監督:杉⼭卓

メインビジュアル

ぬぐえない血

予告編

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