Now Loading

NOW LOADING

top
残影

残影

2024|31min|ドキュメンタリー

イントロダクション

中国の農村部には今でも野外上映が存在している。
今、中国では急速な都市化が進み、大きく変貌し続けている。人々の生活にも変化の波が押し寄せている。
中国浙江省せっこうしょう温州市おんしゅうし永嘉県えいかけん、ここに暮らす徐美欽ジョ·ビキン(86歳)は1960年代から、中国初代の国営上映員として、県内の様々な村で映画の野外上映を続けてきた。1999年、徐美欽が引退した後、長男の徐建勇ジョ·ケンユウ(57歳)が野外上映を引き継いだ。2008年から、「デジタル映画を村に送る」という政策によってすべての機材が全部デジタルとなり、野外上映は入場料を徴収する国営事業から公益イベントとなり、誰でもが無料観賞できることになった。しかし、インターネットや通信技術が発展した今の時代、無料観賞といえども観客は少ない。だが、国や共産党を宣伝する目的で現在も野外上映が続いている。
徐美欽の孫娘であり監督の邵佳琪ショウ·カキは、記憶の中にある野外上映をふりかえりなから、祖父の生活や古いフィルムに注目した。そして、今の徐建勇の仕事を追い、野外映画と観客の現在を映像でとらえた。監督をはじめとする3人のスタッフが村に住み込み、屋外映画の映写技師の親子2人を半年にわたって撮影した。
映画は今も観客に娯楽を与えている。父子二代、あわせて60年を超える上映経験を通して、彼らにとって映画とは何か?農村部の人々にとって映画とは何か?作品は様々な問いを投げかける。

ストーリー

中国浙江省温州市おんしゅうしにある小さい村。ここで徐美欽ジョ·ビキン(86歳)は40年あまり屋外上映に携わり、1999年に引退した。60年代、建国から20年弱、社会は閉鎖性が強かった。映画は村人にとって、外の世界を見る唯一の道であった。中国初代の映写技師として、徐美欽は毎晩のように、映写機、スクリーン、発電機等の機材を三輪車に載せ、村を周っていた。その当時、中国は公有制社会であり、屋外映画は国営であった。徐美欽が国に雇われ、映画技師として稼ぎ家族を支えていた。
徐美欽が引退した後も、長男の徐建勇ジョ·ケンユウ(57歳)が後を継いで野外上映の映写を続けてきた。改革開放政策が進み、中国経済は大きく成長し、テレビやスマートフォンが普及した。屋外上映は外の世界を見るというそれまでの役割を失ってしまった。村の人々にとっては、今の屋外上映は村の人々の貴重な交流の場となっていた。
徐建勇の娘の結婚式には、全国から家族親戚が駆けつけ団らんの時を過ごす。最後に、家族親戚全員の集合写真。家族の絆、野外上映を通した人々の絆、伝統と現代、フィルムとデジタルが共存し、伝承は続いている。

キャスト

徐建勇
徐美欽

胡淑文
劉康妹
徐氷菱
金傑

徐麗萍
邵方勝
徐建成
徐建雷

李忠頑
徐麗聡
徐氷俊
徐子昴

スタッフ

企画·監督:邵佳琪
プロデューサー·録音:陳昕睿
撮影:樊昌昊
編集:姚亦涵


協力:温州市声光文化会社、当原初農家楽、裕錦ホテル、邵方勝、金肖武、石塚崇央、碧蓮鎮の皆さま
タイトルデザイン:林正奇、徐敏
使用曲:「Fragile Heart」Atlas kind

メッセージ

このドキュメンタリーの舞台は私の故郷です。中国浙江省の南の小さな村にあり、私の家族は代々ここに住んでいます。生え抜きの永嘉の人として育ちながら、私は常に故郷の現実の変遷と精神の変化を感じていました。ドキュメンタリーを学ぶ学生として、私たちは一体何を撮影するべきなのだろうか。身近な人が最高の取材対象者かもしれない。彼らは私たちと近くにいるようで遠い存在です。ドキュメンタリーの魅力は、劇映画のような紆余曲折のあるストーリーや濃厚な感情ではないのではないでしょうか。フラットな感情に真実が存在するのではないか。様々な思いが交錯しました。
ドキュメンタリーの主人公は私の祖父と叔父です。子供の頃、両親の仕事の都合で、私はずっと祖父と祖⺟と一緒に生活していました。その時、私にとって毎日一番楽しかったのは、叔父と一緒に各村に映画を上映することでした。農村の夜には蚊や虫がたくさんいて、叔父はスクリーンの向こうに車を止めて、私は車を降りなくても映画を見ることができます。この思い出もこのドキュメンタリーを撮りたいと思ったきっかけです。しかし私は、祖父の時代を経験したことがありません。私が生まれた時、祖父は映画会社を退職していました。祖父はいつも口下手な人でした。彼はいつも黙って新聞を読み、家を掃除し、山に登って柚⼦の⽊の⼿⼊れをしていました。そして事前取材で、私は⽗⺟や祖⺟から、多くの話しを聞く事ができました。
残念なことに、撮影の前に祖父は交通事故に会い、体調が悪く、インタビューが難しくなりました。機会があれば、この以後も撮影を続けたいと思います。

企画・監督:邵佳琪

メインビジュアル

残影

予告編

予告編編集:邵佳琪、姚亦涵