
中国では、「どの学校を卒業したか」が将来の選択肢を決定づける社会になっている。
企業は大量の応募者の中から人材を選ぶため、まず学歴でふるいにかけるのが当たり前となり、その基準は一般大学ではなく、大学院卒にまで引き上げられつつある。
本作の舞台は、中国社会で最も低い学歴階層とみなされてきた「職業高校」。
この学校には国防、新エネルギー自動車、航空整備、航空サービス、看護、プログラミングなど様々な専門科が設けられているが、多くの生徒は普通高校の入試に失敗したためこの場所を選ばざるをえず、この学校での日常は軍事化された教育管理の下に置かれている。
中国の社会において、職業高校は長らく“落ちこぼれ”の象徴とされ、その未来はしばしば「工場での単純労働」と短絡的に結びつけられてきた。
こうした偏見と諦めの空気は学校の隅々に染み込み、授業中にスマートフォンを眺める生徒、熱量を失い始めた教師、誰もが互いに期待しないまま時間だけが流れていく教室が広がっている。
本作は、厳しい社会構造と根深い偏見が若者の未来をどのように規定していくのかを、一人の少年の揺らぎを通して静かに描き出す43分のドキュメンタリーである。

職業高校に通う16歳のハオランは、新学期を迎えて学校生活に戻るが、授業には身が入らず、スマートフォンばかりいじっている。障害を負い、働けない父を支えるため、彼は校内で規則に反してタバコを販売し、学費や家計の足しにしようとしていた。休みには屋台の朝食販売を始めるために貯金しようと考えるが、友人には否定され、父にも「まずは卒業しなさい」と諭される。
その矢先、学校から新学期の学費請求が届くが、家庭には全額を払う余裕がない。ハオランは少しでも負担を減らすべく、販売を続ける決意を固める。しかし突然行われた所持品検査でタバコは没収され、商品や代金を求める生徒たちが一斉に押し寄せ、口論から殴り合いに発展してしまう。
担任に叱責されたハオランは、「このままこの学校にいるより働きに出た方が現実的なのでは」と、自分の未来について初めて揺らぎを感じ始める…。

ヨウ ハオラン
ヨウ ミンカン
リー シーファン
フー イーチュエン
チャン シュ
ユー ヨンヘン
ユエン ハオウェイ
ゴ ソンエン
監督:唐宇昕
プロデューサー:紀嘉琪
撮影:王一成
録音・編集:劉方穎
字幕:李人可
協力:重慶市渝北区竟成中学校 教職員・学生の皆様、重慶軌道交通(集団)有限公司、重慶両江公共交通有限公司、重慶四公里交通換乗枢紐站、ホアン ルアンユー、ルオ ペイハン、コウ ミャオハン、タン シュユエ、ホアン ファンユエン、カク シュン
エンディング:「浩然」作曲:羅霈晗
<作品宣伝チーム>
配給宣伝企画書:李人可
プレス資料原稿:唐宇昕
メインビジュアル:劉方穎
予告篇:王一成
SNS:紀嘉琪
上映会:唐宇昕、劉方穎、紀嘉琪、王一成、李人可

仕事にも学業にもやる気を失い、未来がどこにあるのかも分からない若者たち──そんな光景を私は中国で日常的に耳にし、目にしてきました。原因は複雑ですが、私たちには解決できない問題が数多くあります。青春の物語を描くことにこだわってきた私は、今回、卒業制作でドキュメンタリーという形でこの時代の若者たちを記録することを選びました。
職業高校は中国の厳しい学歴社会の中で、最下層の教育機関として知られています。彼らに接してみると、その空気はまるで澱んだ水のようで、生命力の乏しさを感じました。しかし、そこからこの時代や社会の姿を垣間見ることもできました。
主人公のハオランに出会った瞬間、目の前がぱっと明るくなるような、特別な存在だと感じました。周囲の環境や様々な事情に縛られながらも、彼は必死にこの澱んだ水から抜け出そうともがいています。少年の成長力は強く、わずか半年の間に見える変化もありました。今回の撮影を通して、ハオランの人生の一部を記録し、彼の揺れながらの成長を見守ることができたのだと思います。
監督:唐宇昕