
1993年、日本で創設された技能実習制度。主に、中小企業に振り分けられた外国人実習生に、働きながら職務に関する技能を習得させる名目で生まれたこの制度には、多くの矛盾がみられる。人手不足を補うその場しのぎの労働力として実習生を扱ったり、実習生への違法な低賃金や長時間労働などは、ニュースでも頻繁に報じられ、注目されている。
この映画の主人公であるバユとヘルもまた、インドネシアからやってきた技能実習生だ。だが、この映画が注目しているのは、彼らが異国の地・日本で過ごす素朴な日常である。監督は中国からの留学生・羅 陳澤天、カメラマンは台湾からの留学生・鄭 語涵。さらに、日本人のスタッフたちが録音や編集の主力として参加。チームで連携しながらバユやヘルたちと向き合い、その生活を丹念に映し出した。実習生たちとスタッフ、それぞれの外国人としての視点を織り交ぜながら、現代の日本社会を浮き彫りにする。

バユとヘルは、インドネシア出身の技能実習生である。家族の生活を支えるため、母国よりも収入の多い日本に働き口を求めてきたバユ。「従兄弟と共に故郷に日本語学校を作る」というビジネスチャンスへ向けたステップとして日本にやってきたヘル。それぞれ異なる目的を持つ二人は今、同じ家に住みながら、神奈川県川崎市麻生区の建設会社・ライズホームで、社長や「センセイ」と呼ばれる現場監督、後輩の日本人青年ケンさんと共に働いている。家に帰れば、バユは電話で故郷の母と他愛ない話をし、ヘルは夕食を作る。
休日になれば、二人の家には同じインドネシアの実習生仲間が訪ねてくる。亡き両親に代わって3人の妹の生活費を稼ぐアルディや、劣悪な労働環境から逃れて新たな職場の受け入れを待つリキ、妻子を故郷に残して働くバル。いずれにとっても、技能実習制度は技術習得のための制度ではなく、より多くの金を稼ぐための手段だ。彼らを雇う日本の中小企業にとっても、技能実習制度は、慢性的な人手不足の中、安価で一定期間働いてくれる労働力を確保できる好都合なシステムである。
集まって故郷の歌を歌い、故郷の料理を楽しむ時、バユとヘルは日本の片隅に小さなインドネシア社会を形成する。そんな日々を過ごすうち、技能実習生が日本に滞在できる3年の期間は、徐々に終わりへと近づいていく…。

バユ・プラスチオ
ヘルリウス・オガンド
円城寺広明
武藤剛
山田健司
ファドゥマラ・アルディ
リキ・ロリアント
フマッド・バドル・ディン
ムハマド・エフェンディ
ナンダ・アディ・サプトラ
リコ・チュリアンサ
シャフルル・グナワン
斎藤善久
ファルディン
福本・マハムディ
伊坪孝一郎
伊坪悠里
伊坪稜久
円城寺明子
円城寺春七
飛田仁美
飛田佳歩
飛田早知夫
監督:羅陳澤天
プロデューサー:張心月
撮影:鄭語涵
録音:本田惇之助
編集:馬場耀臣、米谷陸
協力:株式会社ライズホーム、LPK HINODE TRAINING CENTER、居酒屋多満、パブマリーン、FUT MESSE大宮、CINTA JAWA CAFE、TOKO INDONESIA OKUBO、中国物産 海羽、ユウメイ水産、GARUDA Cafe、イオン相模原ショッピングセンター、Z FUTSAL SPORT さがみはら、呑処へべれけ、インド料理スワガット 百合ヶ丘店、富田商事、百合丘AVENUE、AOBA SKY FIELD、Fursal Keihin Cup、BAR しんゆり BASE、HOTEL MORINO SHIN-YURI、ロータリー米山 麻生クラブ、AMANAH MANDE CUP、フィラ新百合ヶ丘、神戸大学 国際協力研究科
翻訳協力:ONE POINT NESIA、Dina Fauziah、駐日インドネシア共和国大使館
機材協力:山田晃己、THE CRADLE co.LTD
音源提供:JOYSOUND
<作品宣伝チーム>
配給宣伝企画書:馬場耀臣
プレス資料原稿:米谷陸
メインビジュアル:本田惇之助
予告篇:羅陳澤天
SNS:鄭語涵
上映会:張心月

家のリフォーム工事、農村のビニールハウス、町工場の片隅——
私たちの日常の風景の中に、いつからか見慣れた“無言の労働者たち”がいます。
名前も知らず、言葉も交わさないまま、それでも確かに共に生きています。
彼らは「技能実習生」と呼ばれていますが、その暮らしには学びではなく、切実な生活の現実があります。
本作では、インドネシアから日本に渡った若者たちの日常を、静かに、丁寧に見つめました。
家族への仕送り、母国からのビデオ電話、異国のコンビニ弁当と、慣れない日本語や制度の矛盾……。
“実習”という建前のもとで働きながら、彼らはただ「生きる」ために日本にいる“普通の若者たち”です。
カメラを通して彼らの視点で世界を見たとき、これまで気づかなかった日本の光と影が浮かび上がってきます。
“外国人労働者”という言葉の向こうにいる、一人ひとりの生身の人間に出会ってもらえることを願って。
この作品が、誰かを見つめ直す小さなきっかけになれば幸いです。
監督:羅陳澤天