3年次後期の授業「キャリア・サポート」は、専門コースに進んだ学生の就業支援を具体的に行う講義です。ゲスト講師のトークを中心に、映像業界のみならず社会人として働くことの意義を説いていきます。
2022年12月9日に行われた講義では、『映像制作の世界を目指すあなたへ』というタイトルのもと、東宝、WOWOW、スカパー、ワーナー、ネットフリックス、ソニー・ピクチャーズ等で数々の作品プロデュースを務められてきた上木則安さんに講師をご担当いただきました。
1983年に東宝㈱入社後、日本衛星放送㈱(現WOWOW)、JSKYB(現スカパー!JSAT)、ワーナーブラザース/ローカルプロダクション、Netflix JAPANの立ち上げに参加。現在はソニー・ピクチャーズ/ローカルプロで映画製作に関わり、設立した個人事務所ではアニメ、ドラマシリーズの開発などを行っている。
〈主な担当作品〉
テレビ番組:『教師びんびん物語』(1988 - 89)、『リング』(1995)、『ギャグマンガ日和』(2005 - )
映画:『サマーウォーズ』(2009)、『アウトレイジ1,2』(2010, 2012)、『アニメ・劇場版銀魂シリーズ』(2010 - 13)、『るろうに剣心シリーズ3部作』(2012-14)、『劇場版・新編魔法少女まどか☆マギカ』(2013)、『極主夫道 ザ・シネマ』(2022)、『キングダム2』(2022)、『バイオレンスアクション』(2022)、『ヘルドッグス』(2022)、『アイアムまきもと』(2022)、『耳をすませば』(2022)
Netflix
実写:『火花』(2016)、『深夜食堂 Tokyo Stories』(2016)、『100万円の女たち』(2017)
アニメ:『DEVILMAN crybaby』(2018)、『リラックマとカオルさん』(2019)、『日本沈没2020』(2020)
講義ではまず「プロデューサーの仕事」や適性についての概説があり、それには企画力、数字の感覚、人脈作り、調整力が必要であるといいます。
つぎに上木さん自身が手がけた作品を例に(上記プロフィール参照)、実際に一つ一つの企画が立ち上がっていく様子が紹介され、学生たちの脳裏にプロデューサーの実像が結ばれていきます。
時には事前に分析されたデータを覆すアイディアを出したり、新しい宣伝方法で戦略を練ったりすることも。時代を切り開いてきた担当作品をもとに、“現代日本映画史”をなぞる形で、ヒット作の裏には営業・製作・宣伝の確かな連携があることが示されました。
これら実例を踏まえ、最後は実践に向けての「企画の考え方」に議題を移し、「たくさん見て感じること」「自分のルーツ(原風景や体験)を大事にすること」「いつも視点を変える癖をつけること」などに企画やクリエイティブの種があると述べ、周知の原作であっても時代や場所を変えることで新たな物語が生まれる可能性や、史実からアイディアを膨らます方法を見渡しました。
一連のケーススタディによる思考訓練により、学生たちへ企画力アップのコツが伝授されました。
学生との質疑応答および富山省吾理事長(左)とのトークを経て、映像制作の世界を目指す学生たちへ次のようなメッセージが贈られ、充実の講義が締めくくられました。
「この業界では誰とでも情報交換し、フレンドリーに接することが大事。人脈の広がりは、キャリアの広がりになる。
100歳までの人生目標シートを作り、30歳くらいまでには自分の好きなことを知る、やりたいことを固めると、その後の人生(キャリア)が有意義に過ごせるはず。働くための体力を作っておくことも忘れずに!」