映画を創作するにしても専門分野の知識や技術を修得するにしても、必要となるのが幅広い知識、教養です。教養を学ぶためには、映画を学ぶことが一番の近道と言っても過言ではないくらい、映画を創作するには幅広い知識を必要とします。 本学の教養科目は、映画を主体とした多彩な科目を設置する一方、一人一人が適切な時期に最適な科目を履修できるよう、科目間のつながりと映画との関連性に基づいた分類をしています。
〈基幹〉
あらゆる学びの“要”として、必修科目に位置づけられています。
〈映画領域と映画隣接領域〉
映画との接近度・密接度によって分類されます。
〈5つの群〉
各領域には、「映画史科目群」「映画文化科目群」「文学・芸術科目群」「歴史・社会科学科目群」「コミュニケーション科目群」という5つの群が置かれ、それぞれ科目の性質に基づき分類されます。
学生が主体的、効果的に学ぶことができるように少人数教育を実施し、きめ細やかな指導を行います。机の上で学ぶだけでなく、グループでの映画制作やフィールドワークを通して自ら問題を見つけ出し、さまざまな角度から問題解決のための思考を重ね、何度も議論する。こうした主体的な試行錯誤を通して、思いを人に伝えること、他者を理解すること、人と何かを共有することを学びます。高い意識と自主性が求められる活動の中で、映画力が育まれます。
8週間単位で実習と講義・ワークショップが交替するカリキュラムになっています。実習期間は「映画を作る」ことに集中します。座学期間には、映画を中心とした教養を学ぶ講義科目と、体験をとおして学ぶワークショップ形式の科目が用意されています。これを繰り返していくことで、映画制作の全体像を知り、技術を修得すると同時に、映像や文化、社会に対する知識と幅広い教養を身につけることができます。
すべての学生が、2年次前期までに200枚の脚本(シナリオ)を執筆しなければなりません。
これは「映画の基本は脚本にある」という考え方によるもの。映画制作の起点を学び映画の構造を理解するだけではなく、すべての制作スタッフが脚本を読み込み、チームワークの中で何をなすべきか考えなければ良い作品は生まれないと考えるからです。
脚本は映画の設計図。設計図を作成し、読解する力は全スタッフにとって必要不可欠な資質なのです。
事務局スタッフと教員の全員が学生の相談に個別に応じ、アドバイスする体制を整えています。共同作業の中での悩みや将来の進路についての疑問など、大学生活のさまざまな面で困ったことがあったら、いつでも相談できます。環境の変化に慣れるのに時間がかかる1年生にはクラス担任制度を設けており、担任の教員が1年間を通じてサポートします。
映像を学べる学校は数多くありますが、本学の場合それを「仕事にする」ことに特長があります。
現役の映画人から指導を受けられる本学は、映画の知識や技術の継承を行い、実践力を養っているため、数多くの卒業生が映画・映像業界で活躍しています。
また、プロのクリエイターである教員が業界の各所にネットワークを持っているのも「業界就業ナンバー1」を誇る本学の強みのひとつです。
映画や映像の世界でめざましい活躍を見せる本学園(横浜放送映画専門学院・日本映画学校・日本映画大学)の卒業生たち。
卒業生が携わった作品は毎月のように公開されています。
【映画】(おもに2021年以降公開作品から抜粋)
『ドライブ・マイ・カー』 プロデューサー・監督助手・撮影助手・テクニカルディレクター・アシスタントエンジニア・サウンドエディターアシスタント・制作
『ブレイブ -群青戦記-』 監督・ラインプロデューサー
『水上のフライト』 脚本・監督・撮影・編集・制作
『アンダードッグ 前編・後編』 原作・脚本・撮影・録音
『私をくいとめて』 撮影
『子供はわかってあげない』 プロデューサー・編集・音響効果・劇中アニメプロデューサー
『妖怪大戦争 ガーディアンズ』 監督・撮影
『映画クレヨンしんちゃん 謎メキ!花の天カス学園』 監督・脚本
『地獄の花園』 脚本・編集
『映画大好きポンポさん』 編集
『サマーフィルムにのって』 プロデューサー・監督補・キャスティング・撮影・照明・編集・ラインプロデューサー
『キャラクター』 録音・音響効果・テクニカルディレクター
【TV】
連続ドラマW(WOWOW)『コールドケース3 ~真実の扉~』 撮影監督
テレビ東京『シェフは名探偵』 チーフ監督
【小説】
『心霊探偵八雲』 シリーズ・著者
『ふたたび蝉の声』 著者
『架空OL日記』 著者
「社会人基礎力」とは、経済産業省が2006年から提唱している“仕事に必要な基礎的な力”で、「前に踏み出す力(アクション)」、「考え抜く力(シンキング)」、「チームで働く力(チームワーク)」の3つの能力(12の能力要素)から構成されています。
大きく変化する社会構造と環境のなかで、「基礎学力」と「専門知識」だけでなく、それらを活用するための「社会人基礎力」が重要視されるようになり、多くの職場もそのような力を身につけた人材を求めています。
映画づくりに主体性や創造力が問われるのはもちろんのこと、現場では往々にして予期せぬ問題に直面します。そこでは、課題発見力と解決に向けた方法を繰り返し模索していくことになります。また実習中心の本学のカリキュラムでは、「チームで働く」ことは基本であり、多様な人々と仕事をしていくためのスキルをおのずと身につけているのが通常です。
つまり、社会人基礎力は「映画力」と言い換えることができ、本学は映画による人材教育・育成を得意とします。
2022年現在、その国を代表する世界6ヵ国の大学と学術協定を結んでいます。
映画は世界とつながるコミュニケーションツールでもあり、「日韓学生合同制作プロジェクト」では言語や文化の違いを超えてともに映画を作ることで、日韓の学生が国際交流を図ることを目的としています。
足と手と耳と眼とハートと頭を総動員して4年間モノを創りつつ、想像力や感性を培う、この映画大学で、受身の学習だけではモッタイナイ。ひたすらクソ真面目に理解し習得するだけでは大学生活が貧しくなろう。様々な意見、学説、教育のあり方に対して、それを鵜呑みとせず反問し(今村昌平の言葉)、相対化しつつ我が物としていける耳の力、眼の力を涵養していかねばならないのです。比喩的に言えば、何枚もの耳朶を持たねばならないということです。知識や情報ではない、本物の知を身に付けてください。疑う力であり決断力、生き抜く力です。