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15のメーデー

15のメーデー

2021|30min|ドラマ

イントロダクション

15歳―――悩み、迷い、痛み。―――
人は誰しも拠り所を必要としている。場所、人、物事。なにかしらに心をおき、どうにか自己を肯定して生きていく。これは15歳の夏、拠り所を求めてさまよう少女の物語。
主人公・花江は親が離婚してから2年間、母・夏子と2人、アパートで暮らしてきた。「誰かといるから幸せってことでもないでしょ」そう言って群れない花江と「専業主婦って憧れだったのよね」と笑う夏子。2人での生活もあと2日。母の不倫相手から再婚相手となった男との新たな生活が始まろうとしている。両親の離婚、母の再婚、自身の立場、すべてに納得のいっていない花江は意を決して父のもとを訪ねる。父はかつて家族で暮らした家で一人、自堕落な生活を送っていた。「ごめんね、お父さん」花江の言葉に目をそらす父。帰宅し、母へ思いをぶつける花江。親子3人が初めて向き合う夜、その関係はつながるのか、壊れるのか――

日本で1年間に成立している離婚20万件の内、子どもを持つ夫婦の離婚は半数以上。離婚、その他様々な大人の事情に振り回され、自分の存在を肯定することさえも難しい子どもは多い。本作の主人公・花江もその1人だ。諏訪拓磨監督は、対峙した親子3人を様々なアングルから映すことで、花江の中でうごめく感情の正体を見せた。また、言葉数の少ない花江の心情を表現するため、目線や人物の配置も工夫されている。これらの演出により、15歳のリアルな叫びが聞こえる作品が出来上がった。

ストーリー

両親が離婚してから母と二人で暮らしてきた花江。あれから2年、母は離婚の原因となったかつての浮気相手との再婚を決めたが、花江はその再婚に納得できてはいなかった。引っ越しを目の前に控えた中学3年生の夏、花江はずっと会っていなかった父を訪ねることを決意する。かつて3人で住んでいた家で父と再会する花江。一緒に買い物をしたり料理をしたり、昔のような楽しい時間を過ごすが――。少女が家族に求めたものとは。

キャスト

花田優里音
カトウシンスケ
嶋村友美
山田瑛瑠
長崎楓
宮下莉里花

スタッフ

監督:諏訪拓磨
脚本:大川青葉
プロデュ―サー:川嶋ありす
撮影:藤﨑空
照明:佐藤大真
録音:王家欣
編集:海老沢萌
記録:田村佳奈恵
美術:林朝陽
助監督:岡井力夢、大塚公平、林朝陽
制作:叶趙然、木ノ下歩実
撮影助手:陳佳縁、ギティー、会川聡美
照明助手:堀勇樹
録音助手・音響効果:木下瑠菜、茂木桜、安慶名琉星、宋嘉晴
編集助手:井坂実玖、田村佳奈恵
車両:清水健司
音楽:安重大樹


グレーディング:(株)IMAGICA 高田淳
協力:BLUE LABEL、アノレ、アンカット、砂岡事務所、劇団ひまわり、株式会社 Kado、美容室 COGE、一般財団法人東都大学野球連盟、浦野響、河原慧、小野志穂、嶋崎友也、林ななみ、湯澤鮎太
ロケ地協力:MINSYUKU URAYASU、OYO LIFE、みうら映画舎、日野映像支援隊、京王電鉄、ひたちなか海浜鉄道、下町人情きらきら橘商店街、千丸、伊藤隆雄
車両協力:バルクレンタカーアンドセールス
機材協力:パク・ウルビン
美術協力:高津装飾美術、日映装飾美術、株式会社サカイ引越センター、宮沢賢治『新編 銀河鉄道の夜』新潮文庫刊
衣裳協力:MIKMO、BIG TIME、よ刺繍屋、共和サービス警備保障株式会社、DESERT SNOW、Faleco、CHICAGO

監督コメント

実現不可能な問題に当たった時、私たち「大人」は仕方がないという言葉で問題を片付けてしまいます。しかし、思いは無視できても、消すことはできません。無視し続けた思いは私たちを見えないところで悩ませ続けています。

本作の主人公・花江は中学3年生の女の子。母の再婚を機に引っ越すことになった彼女は、言葉にできない思いを抱え、離れて暮らす父に会いに行きます。言葉にできない思いというのは「お父さんとお母さんとまた3人で暮らしたい」という実に素直なものなのですが、私は監督としてこの気持ちを認めることが出来ませんでした。なぜなら、彼女の願いは叶わないことを知っていたし、そんなことに悩んでいても仕方がないと思ったからです。しかし、実はこのこと自体が作品の根幹と密接に関わっていました。
少し難しい言い方になるのですが、主人公の実現不可能な願いに対する私自身の「理解できなさ」は、そのまま映画の話の中における主人公の周りからの「理解されなさ」であることに気づいたのです。「叶わないことは分かってる。でも痛みを感じていることは無視しないでほしい」という主人公の主張が、この作品のメッセージそのもので、物語に出てくる大人たちと同じように、私自身が主人公の思いを無視してしまっていました。そして、この無視というのは、子供に対してだけでなく、私たち大人が自分自身に対してもしているのではないかと思ったのです。
大人にもなれず子供でもいられない15歳の花江。彼女が自分の言葉を飲み込まんとする姿を見て、私たち「大人」が知らぬ間に蔑ろにしてきた自らの欲求に気付かされた気がしたのです。

監督:諏訪拓磨

メインビジュアル

15のメーデー

予告編

メイキング

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受賞/上映

  • JPPA AWARDS 2021 学生の部 映像技術部門 ドラマ/映画 優秀賞|受賞者 藤﨑空、佐藤大真
    JPPA AWARDS 2021