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会者定離

会者定離えしゃじょうり

2021|46min|ドキュメンタリー

イントロダクション

中国の伝統的な考え方では、死者の死体を完璧に保つことが死者に対する最高の手向けとされている。人口が少なく、教育格差がある農村のような貧困地域にでは献体にへの反発が多い。一方、深圳市のような新しい大都市では献体への理解が広がり、献体を申し出る若者も少なくない。そして、今の中国では献体に反発する伝統的な考え方の人々と、理解を示す人々との間にギャップが広がっている。
1966年、主人公の高敏コウミンは山東省済南市商河県の農村で生まれた。
1979年、中国中央政府は深圳市を経済特区とし、高敏の家族たちは建設関係で働く父と一緒に深圳市に移住した。
1997年、高敏は買い物の途中で、赤十字社で献血した。高敏は「人の命を救う」という理念に魅かれ、赤十字社のボランティアとなる。
1999年6月13日深夜、深圳大学の向春梅コウシュンメイ教授がガンで亡くなった。生前、彼女は献体の同意書にサインしており、彼女の角膜は献体された。それが中国の角膜献体の第一例となる。
これを契機に、高敏は献体への理解を拡げる活動を開始した。
2005年8月末、高敏は多臓器移植のコーディネートに成功した。これは中国初の成功例である。
2007年、中国の『人間臓器移植条例』という法律が制定された。
それと同時に、高敏は中国で初めての献体コーディネーターに任命された。
2020年6月27日まで、高敏がコーディネートして成功した眼球の献体は約1000例、臓器の献体は約700、遺体の献体484例に達した。

ストーリー

中国広東省深圳市は、中国の経済特区として急速に発展した大都市である。高敏コウミンは深圳市の赤十字社の職員であり、中国における献体コーディネーターの第一人者である。彼女の仕事内容は献体を申し出た人々と親身に語り合い、献体契約の手続きや家族の説得である。本作は、高敏が仕事する足跡を追って、三件の献体を記録しながら、生きること、死ぬこと、愛する、そして別れることの苦しさが描かれる。

キャスト

高敏
彭素玲
厳暁安
厳恵雲
何昌瑶
何慶
何華
葉麗媚
文志明
文素希
文素妝


献体志望者の家族のみなさん
深セン市大学医学部のみなさん
深セン市華厦眼科病院のみなさん
深セン市羅湖区献血センターのみなさん
深セン市慈海病院のみなさん
深セン市十里銀浜のみなさん

スタッフ

企画・監督:李雄
構成・予告編:徐艾文
撮影・録音:謝西平、李雄
編集・グレーディング・字幕:秦暁源
エンディングテーマ:「糸」 作曲・演奏:張大威
編集助手:張宇豪、徐艾文
日本語通訳:張宇豪、徐艾文、李雄


取材協力:深セン市赤十字社、深セン市大学医学部、深セン市華厦眼科病院、深セン市第一人民病院、深セン市第三人民病院、深セン市羅湖区献血センター、深セン市慈海病院、深セン市図書館、深セン市改革開放記念館、深セン市龍崗区坪西村、深セン市龍崗区交番、深セン市塘朗山公園、深セン市塘朗山交番、深セン市塘尾村管理所、深セン市吉田公墓地、深セン市塩田区海事局、深セン市金色海岸モーターボートレンタル有限会社、深セン市蜜蜂レンタカー有限会社、深セン市バス集団株式会社、深セン市地下鉄運営有限会社、深セン市深華タクシー有限会社、深圳市雨萱花語花店、恵州市十里銀浜団地管理署、恵州市十里銀浜交番、北京市運達科技有限会社深セン支社

メッセージ

この作品の構想のきっかけは、2019年3月、私が胆石症で入院した時、友達のナースから、病院の中に白血病の子供が一人いて、彼の父は自分の子供を救うために、骨髄移植手術の同意書をサインしたということを聞いたことです。簡単な手術を受けたばかりで、痛い思いをした私は、もし自分が臓器移植を待つ患者なら、一体どんな気持ちになるだろうかと考えました。もし、自分の愛する人が同じ立場になったら、自分はどうするだろうと考えました。そして、私は臓器移植について調べました。中国の臓器移植の背景、歴史など、そして高敏さんのことを知り、献体コーディネーターという存在を知って、驚きました。
2019年8月、私は献体同意書をサインし、深圳市の赤十字社を訪ねました。高敏さんと会うことができましたが、高敏さんは撮影を拒否しました。高敏さんとの信頼関係を作るため、私は高敏さんのアシストとして3週間のボランティア活動をしました。やがて、撮影許可をいただきました。しかし、コロナ禍の影響で、私の撮影は4か月ほど延期せざるを得ませんでした。
2020年6月、私は高敏さんの活動に密着し、撮影しました。当初、私は高敏さんの魅力を表現するつもりでしたが、取材に伴い、考えが変わってきました。特に、取材中、多くの献体志望者が亡くなり、そのつらさや家族の悲しみなどを目の当たりにして、「会者定離」を感じました。「この世で出会った者には、必ず別れる時がくる運命にあることだ。この世や人生は無常であることのたとえ」、それは私がこの映画で伝えたいことです。
私にとって、卒業制作はたくさんの矢に心臓を刺し貫かれるような苦痛を感じましたが、やりがいがありました。観客の共感が喜びであり、共感されないかもしれないかということが不安です。

監督:李雄

メインビジュアル

会者定離

予告編

受賞/上映