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いまも猫と

いまも猫と

2021|45min|ドキュメンタリー

イントロダクション

社会福祉施設の設計を専門に手がけていた東真一郎は、2017年過労のため脳梗塞で倒れてしまう。以来、一人で歩くことも困難になった。
妻の亜由子はそんな真一郎を支えながら、イラストレーターとして作品づくりや、美術館、福祉施設でワークショップを開き講師として活動をしている。
二人が出会ったのは横浜の障がい者施設。
福祉を通してふたりは惹かれ合い一年後に結婚。
夫婦になって12年。色々な困難を共にしながらも、ふたりはお日様の光が差し込む部屋でいまも猫と暮らしている。
脳梗塞で倒れから、様々な治療や、リハビリも試してみたが、真一郎の言葉や笑顔はどんどん失われていく。
それを取り戻したい亜由子は真一郎の故郷である山口県萩に渡り、改めて一からスタートしようと決める。
萩の自然を感じながら、ふたりはまた、お互いの存在が自分にとってどんなものなのか考えていく。
真一郎は、萩で母親と1ヶ月間一緒に過ごすことにし、亜由子は先に帰る。
初めて一人になった亜由子は、真一郎がどんな状態であろうとも、ふたりで一緒にいることが幸せなんだと気づく。
静かな部屋に響く、猫の声や扇風機のまわる音。
二人の感じた時間、見つめた景色をカメラが追う。
喜びも、悲しみも、ともに感じて。
一歩一歩、ゆっくりと時間をかけて進んでいく亜由子と真一郎を猫がやさしく見守ってる。

ストーリー

玄関の前に猫が日向ぼっこをしていて、扉を開けるとあたたかい光が迎え入れる。ここに夫婦と一匹の猫が生活している。夫の真一郎は脳梗塞で倒れて以来、動くことも困難。妻の亜由子はイラストレーターとして仕事をしながら、真一郎を支えている。真一郎の状態には変化がなく、回復が見られない。あるきっかけで、二人は真一郎の故郷である山口県に帰ることに。亜由子は一足先にふたりで暮らしていた家に帰る。そして自分にとって真一郎がどんな存在なのか気づく。

キャスト

東亜由子
東真一郎
伊藤日菜子
東征子
ぶどうの木の皆様

スタッフ

伊藤草良
陳樹美
汪浩然


協力:田山海、田山睦、特定非営利活動法人 一麦、生活介護事業所 ぶどうの木、社会福祉法人 恵徳会
音楽:『地球にさよならする前に』ITAL MEETING

コメント

亜由子は私の母の双子の妹。叔母さんなんて言葉じゃしっくりこなくて、昔からアーコと呼んでいた。
アーコを撮影しようとしたきっかけは、アーコの小説を読んでから。
その小説には、亜由子と私の母である日菜子の10代の時について書かれている。
二人はとても孤独で、たくさん傷ついていて、本当にどうしようもなかった。
小説には、自分が一体誰なのか、自分ってなんだという葛藤があったことが生々しく書かれていて(自分もそう思っていたこともあり)アーコから出てくる言葉に私は感動して、そして苦しくなった。
「アーコ」という人を撮りたいと思った。
今のアーコは、昔とはまた違う困難と向き合いながら必死に生きている。
でもアーコはそれを見せず、何も語ろうとしない。
全て自分だけで抱えてしんちゃんと二人で生きていこうとしていた。
私はアーコと話がしたくなり、思っていることを伝えた。
アーコはプラットホームで泣きじゃくり、マスカラがドロドロと流れ落ちていく。
でも、その姿はとても魅力的で、私は「アーコを撮りたいよ」と伝えた。
そしてアーコは驚いて、少し黙ったけど「頑張る」とつぶやいた。
それがこの映画の始まりだった。
人の人生を撮るという事はとても怖い事だと思う。
私は未だに「本当に撮って良かったんだろうか」と考えている。
だけど、誰かにアーコという人を知って欲しかった。
しんちゃんという人を知って欲しかった。
二人の生きてきた時間を。
かなりカッコつけたけどこれが本心だ。
撮影の時、映画ということを意識させないように最初は息をしないで撮っていた。
最後は一緒に泣いたり笑ったりしていたけど。
私はずっとあたたかい気持ちで頑張ることができた。
それは対象がアーコとしんちゃんだったからだ。
二人の優しくてあたたかい時間をそのまま伝えられるように頑張りました。
亜由子の言葉が誰かに届きますように。

伊藤草良
 

メインビジュアル

いまも猫と

予告編