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私の青い夏

私の青い夏

2023|30min|ドラマ

イントロダクション

大学生4年生のちとせは、お寺の娘。バンドマンを夢見た兄の大和が5年前に家出してから、なんとなく自分が寺の後を継ぐものだと思っていた。寺の鐘を毎日つき、門徒からお見合いを勧められたり、親友と他愛もないお喋りをしたりしながら、就活に縁のない毎日を過ごしている。しかし、兄が突然に帰ってきたことをきっかけに、ちとせの学生最後の夏は予想外の方向へと転がり始めるのだった。

本作は真夏の寺を主な舞台に、主人公のちとせが懸命に考え、行動する様を爽やかに描いている。同時に、立場や環境ゆえに人々が分かり合えないことや、社会が生み出す矛盾への無力感も目を逸らさずに映し出す。変化の象徴のようなコロナ禍の生活の様子と、長い年月をかけて在り続けるお寺との対比にも注目。

脚本・監督を務めたのは加藤はな。ちとせと同じ大学4年生である彼女が「いま」描きたいものを、本編尺30分の中に詰め込んだ。裕福なお寺生まれという特権に甘えながらも、困っている人を見捨てられない優しさを持つ主人公に寄り添いながら、作品と共に一夏を走り抜けた。大人たちから何と言われようと自分の目標を諦めたくない。葛藤を抱えながら懸命に生きる若者に届けたい映画が、ここに誕生した。

ストーリー

舞台は2022年の東京。新型コロナウイルスの感染拡大からはや2年、マスクが欠かせないコロナ禍の生活が人々の日常となっていた。
下町にある寺生まれの大学4年生ちとせ。5年前に兄・大和が「バンドで食っていく」と家出して以来、住職である父・正和と母・彰子と3人で暮らしている。幼い頃から手伝ってきた寺の仕事が日課となり、寺を支える門徒たちにも認められつつあった。親友や周囲が就職先を決めていく中、自分が跡を継ぐものだとゆるく考えて、就職活動をしないまま大学生活最後の夏を迎える。
ところが家族の前に大和が現れ、「寺を継ぐために帰ってきた」のだと告げる。父は厳しい態度を示すものの、母は喜び、結局は迎え入れられる。動揺するちとせ。なんとなく思い描いていた将来設計に暗雲が立ち込める中、妹の胸の内になど気づかない大和は仕事に干渉し始める。さらには法事などの行事を通して、門徒たちが大和の帰りを歓迎し始めているのを感じ、ちとせは徐々に居場所を失っていく。
そんな中、ちとせは寺の境内を彷徨っていた少年・蓮と出会う。親交を深めていく中で、彼が抱える複雑な家庭環境を知る。寺という恵まれた環境で不自由なく暮らして来た彼女が初めて目の当たりにする人の生きづらさと孤独。それらに触れていくことで無力さを感じ、やがて自身の行く先を模索し始める。果たして彼女が最後に出した答えとは…。

キャスト

佐々木悠華
米﨑亮
石田頌馬
柿尾昆
水月圭
近藤くれは
高園みほ
伊藤昌子
大谷三春
杉浦優希
みやたに

スタッフ

脚本・監督:加藤はな
プロデューサー:佐藤綺音
撮影:岩野裕雅
照明:難波結太
録音:山田侑奈
編集:亀尾勇太
音楽:田端俊介
演奏:田端俊介、神野洋
助監督:神山大樹、駒井段之丞、肖梦茹
撮影助手:吉田朔、張昊文、辛昱萱
照明助手:何雨航、林涵凌
録音助手:茶原奈々、張皓嘉、中村亮、橋本航太郎、連敏鳴、黎子輝
編集助手:祁慧詩、張欣宇、堀田翔太、李奕璇
制作:CHRISTIAN DHARMAWAN、KC PRANAV
車両:藤崎仁志、石塚崇央


グレーディング:(株)IMAGICAエンタテインメントメディアサービス 河原夏子
キャスティング協力:チーズ film、バンスプロダクション、宝映テレビプロダクション、エクセルヒューマンエイジェンシー、CLEO、ファザーズコーポレーション、アルファセレクション、放映新社
撮影協力:永池山 長念寺、浅草茶華、カフェ・ド・シュロ、調布市、べリエール鶴川、百川稜生
エキストラ協力:上田礼花、Wu,Yun-Tzu、大瀬勇希、大森美侑、加城七海、柏木清美、川上萩花、Kevin Giang、齋藤亜斗夢、Simon Mortensen、嶋田桂璃、Nathan Mitson、ハヤト、Huang Hueijja、Picot Matthieu、藤田陸人、吉見祐太、渡瀬一二三、Wang Yanfrng
取材協力:永池山 長念寺、小林泰善、小林教善、潮音寺、ねじめ彩木
美術協力:高津装飾美術、日映装飾美術
衣装協力:永池山 長念寺、東宝コスチューム
車両協力:バルクレンタカーアンドセールス

メッセージ

昨年、父方の祖母が亡くなり、今年の初め、祖父が亡くなった。でも私は未だに喪服を持っていない。喪服が必要なかったからだ。

2022年、コロナ禍の東京に暮らす私は、田舎のお年寄りが多いお葬式に出席することをやんわりと拒まれてしまった。しょうがない、そう思ったが、やっぱり寂しい気持ちでいっぱいだった。祖父母はお寺に住んでいた。しかし、父の兄がお寺を継いだことで、私は、お寺のことをほとんど知らずに育った。

卒業制作の脚本を書くにあたり、今、自分が感じていることを少しでも取り入れたいと思っていた。一つは、私のルーツであるお寺のこと。もう一つは、拭いきれない自身の幼さについて。

私の大学生活に大きく影響を与えたことといえば、新型コロナウイルスの大流行を超えるものはないかもしれない。予定していた海外旅行や成人式が無くなったり、実習のロケーションを断られたり、想像とは違う大学生活を送ることを余儀なくされた。私たち学生に「かわいそうだね」と同情してくれる大人の人は多かった。でもその優しさがなんだか、とても悔しかった。「かわいそう」と括られる私たちの時間も、そう言われてしまうこと自体にも。しかし何より、できなかったこと全部をコロナ禍のせいにしてしまっている自分への情けなさを感じていた。

コロナ禍で、色んな考え方が良くも悪くも大きく変わった。変わった世の中と、変わりきれないもどかしさを抱えた主人公。2022年を大学生として生きる私たちで作った映画をぜひ、ご覧ください。

脚本・監督:加藤はな

メインビジュアル

私の青い夏

予告編

メイキング