Now Loading

NOW LOADING

top
hero with me

hero with me

2023|35min|ドキュメンタリー

イントロダクション

「怪獣」「ヒーロー」などの言葉から連想される日本の“特撮”は、世界中にその愛好者を育てている。例えば、登場する巨大生物を「カイジュ―」という呼称で劇中に登場させた映画『パシフィック・リム』。監督のギレルモ・デル・トロは、ダークファンタジー『シェープ・オブ・ウォーター』でベネチア国際映画祭の最高賞「金獅子賞」、アカデミー監督賞などを受賞した世界的なクリエイターであり、日本の特撮やアニメに深い造詣と愛着を持っている。近年、成⻑著しい中国では、ハリウッド流VFXを多用した特撮映画が生み出されているが、テレビで放映されてきた日本の特撮に心酔するものも少なくない。「ウルトラマン」や「仮面ライダー」などのテレビシリーズは、膨大な数に及び、その多くが海を越え、アジアのみならず世界中の子供たちに愛されてきたのだ。これらの名前が代表している日本の特撮文化は、世間一般から見れば、陳腐な子供騙しの着ぐるみ怪獣映画かもしれない。しかし、幼い頃に見たヒーローのイメージは大人になってからも残る。本作の主人公であるオウ・シセンも、そのイメージに夢中になっている一人。中国の最南部にある海南省出身。今、自身の自主制作特撮映画『タイム』の制作を東京で開始した。本作は、彼女と仲間たちの特撮への熱い思いと夢を追いかける姿を描く。

ストーリー

東京中野、アニメや特撮のグッズが所狭しと並ぶ“聖地”である。膨大な商品が並ぶ店の一画を、歴代の「ウルトラマン」や膨大な「仮面ライダー」シリーズのフィギアが占拠している。日本の特撮の金字塔とも呼べる人気シリーズの関連商品が訪れる者を魅了する。その店内を眩しそうに歩くオウ・ シセン、「まるでパラダイスだ」とつぶやく。彼女は中国最南部、風光明媚な海浜地帯、海南省出身。地元の大学を卒業後、家族の反対を押し切り、特撮技術を学ぶために日本に留学した。専門学校卒業後、日本の特撮会社に就職した彼女は自身が監督する特撮映画を作るという夢を抱いていた。彼女は同じく特撮好きの中国人留学生喜子キシに声をかけた。同じ海南省出身の喜子も特撮の大ファン。留学前、二人は「海南特撮同好会」という映画サークルで知り合い、仲間たちと特撮自主映画を作ったことがある。日本での新作を前に二人は連絡を取りあった。脚本を書く、絵コンテを描く、照明や衣装の打ち合わせ、自主特撮映画の制作を前に、オウは忙しい日々を送っていた。彼女の周りに特撮に深い想いを抱く中国留学生が集まる。オウが脚本に書いた物語は、周囲や家族の反対や厳しい職場環境にめげず日本の特撮を自らのものとするために、苦悩し続けてきた彼女自身の歩みそのものが、反映されていた。

キャスト

王子璇
呉清祥
魏文笛
陳己男
曹詩音
張琦坤
高慧婷

特別出演:安川桃香、武田彩里
スペシャルサンクス:風谷南友

スタッフ

監督:荊澤一
プロデューサー・録音:王彦斌
撮影:汪宣杰、荊澤一
編集:陳晋遥


挿入曲『THYME×TIME』作曲・編曲:夏惟
協力:『タイム』製作委員会、人間以外NGTV、海南特撮同好会、 株式会社バンダイ、株式会社円谷プロダクション、東映株式会社、エイベックス・エンタテインメント株式会社、テレビ朝日ミュージック、中野ブロードウェイ、株式会社まんだらけ、 日本映画大学12期井土クラスの皆様、 ふれあい貸し会議室 池袋、レンタルスペースCREO 王子駅前、株式会社ツインズプランニング、株式会社クルトン ミラノ会議室、STUDIO K 大塚、Studio Gather、竹中圭樹写真事務所 四谷スタジオ、浮岳山昌楽院 深大寺、 南国の味 勝生、澣花火鍋 新宿歌舞伎町店、総合食品 田中青果

メッセージ

日本に留学したばかりの頃に、アニメや特撮などのサブカルチャーが好きで日本に来たという友達何人かと知り合った。あるジャンルか作品のファンたちは同好を見つけて、どんどん人が多く集まって、便利なインターネットのおかげでコミュニティやクラブが作られていく。しかし、観客から制作者になり、さらに好きなことを仕事にして生活し続ける勇気を持っている人は多くないと思う。本作の主人公、オウさんはそのような人だ。
インタビューで、何年前から試しに作品を作ってきたオウさんは「作品を他人に見せて褒められたいと思ったが、無関心だけを得た」と話してくれた。私は自分の経験を回想しながらその言葉に共感して、撮影を続けた。オウさんは自主制作の企画を立てた時に、「自分と似ている人に夢を追う勇気を与えたい」と言った。みんながやりたいことが違って、経験もそれぞれだが、まだ迷っている人たちを少しでも勇気づけられるだろう。
この『hero with me』は、小さな自主制作映画の舞台裏を描いたドキュメンタリーだ。様々な大作の中では目立たない作品に過ぎないかもしれない。しかし、登場したみんなが経験したように、小さい頃に偶然ある作品を観て夢のタネを得て、数年後に自分も作者になってその夢と楽しさを作品で伝え続けることは、創作ということのロマンではないかと思う。

監督:荊澤一

メインビジュアル

hero with me

予告編