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くらら

くらら

2023|33min|ドキュメンタリー

イントロダクション

兵庫県神戸市は、パンの消費量全国1位を誇る。1868年の神戸港の開港に伴い、多くの外国人居留地がつくられ、翌1869年には、市内に初のベーカリーがオープンした。以来この街にパン食、パン製造の文化が栄えた。そんな神戸の長田区に「くららべーかりー」は、ひっそりと佇んでいる。

創設からほどなく、1995年1月17日に、神戸市一帯を阪神淡路大震災が襲った。長田区は、最も大きな被害を受けた地域の一つであり、1万5000棟以上の建物が全壊、5000棟近くが火災で全焼した。「くらら」も例外ではなかった。お店は潰れてしまい、泰三さんは、先のことを考えるのに必死であった。そんな時に、一人のメンバーの方が泰三さんに掛けた一言が、泰三さんの当時の心境を大きく変化させた。また、その時に泰三さんが感じた、「人の役に立つパンを作ろう」という思いは、今も「くらら」のアイデンティティとして生き続けている。

この作品では、「くらら」の日々の様子や、石倉泰三さんの語りを通して、人と人のつながり、何気ない日常の尊さを、監督の植村が、優しく、温かなまなざしで、皆さんに問いかける。

ストーリー

「くららべーかりー」は、様々な施設などへの移動販売を中心とした、地域から愛されるパン屋さんである。創設者の石倉泰三さんが、障がいを持つ長女の愛さんの姿を通して、「障がいを持つ方の居場所を作りたい」という想いで「くらら」を立ち上げた。
多様な障がいを持つメンバーが、活き活きと働いており、メンバー、スタッフの笑顔は、いつも絶えない。

長女の愛さんが生まれ、重い障がいを持っていると告げられた泰三さんは、やりきれない思いを抱えながら日々を過ごしていたが、妻の悦子さんの一言で、娘の愛さんと、正面から向き合おうと決心した。愛さんの成長を見ていく中で、障がいを持つ人たちの為の居場所が少ないと感じた泰三さんは、一念発起して脱サラし、「くららべーかりー」を立ち上げた。

創設当初からのメンバーの一人に、福岡伸二さんがいる。伸二さんは、非常にこだわりが強く、特に、掃除に対するこだわりはひと際強い。伸二さんの掃除のおかげで、厨房の中は、いつもピカピカに輝いている。

1995年1月17日、阪神淡路大震災によって、生活は一変した。特に甚大な被害を被った長田区の中で、「くらら」も例外ではなく、お店は潰れてしまった。泰三さんは、先のことを考えるのに必死であったが、当時のメンバーの一言をきっかけに、パンの炊き出しなどのボランティア活動を展開し、その時に泰三さんが感じた、「人の役に立つパンを作る」という信念は、今も「くらら」に流れている。

「くらら」の中に、変わらずに残っているものに目を向けていく中で、この作品は生まれた。

キャスト

石倉泰三
石倉悦子
石倉愛

福岡伸二
大西隆司
岡田崇史
小原進
金子祐子
小西徹
竹田谷哲

富樫邦夫
林邦彦
藤澤拓也
藤原裕巳
堀井加那
山本聖一

兵庫県神戸市長田区のみなさま
兵庫県神戸市須磨区のみなさま

スタッフ

企画・監督・編集:植村拓巳
撮影:矢野陽一
プロデューサー・録音:佐久間武尊


協力:くららベーカリー、NPO法人ネットワークながた、ら・ぱん工房 来古里、一般社団法人 OneThree、林パン商店、1.17KOBEに灯りをinながた実行委員会、FMわいわい、夏越ゆかた祭実行委員会、長田区役所、バイク屋 SAKAE、特定非営利活動法人ウィズアス、グループホーム ハナ、神戸ユニバーサル研究会、OSAMU FACTORY
写真提供:石倉泰三、石倉悦子、兵庫県神戸市
音源提供:金千秋、FMわいわい

メッセージ

今回我々三人は、神戸に三ヶ月間滞在しながら撮影をするという、近場での短い撮影期間しかなかったこれまでの実習とは全く違う形をとり、作品制作に挑みました。
この神奈川を遠く離れた場所での撮影も我々にとっては冒険であり、大きな挑戦だったのですが、それよりも障害を持つ方々と関わるということは、さらにもっと大きな挑戦になりました。
ある日の朝、パン屋に行くと一人の利用者が大きな声を出して怒っていました。我々にもどこか怒った口調で話してきましたが、私は彼がどうして怒っているのかわかりませんでした。他にも本作の主人公である石倉泰三さんの長女愛さんの撮影を初めて行った時は「撮るな」と言わんばかりに部屋の扉を閉められたこともありました。
しかし石倉泰三さんを撮影していく上で、この「くららベーかりー」の利用者のことを一つでも多く理解し、「障害を持つ」ということがどういうことなのか。そして石倉さんにとってこの「くららベーかりー」とその利用者はどのような存在なのかを、我々は見つめていく必要がありました。
諦めず時間を重ねて彼らと関わっていく中で、我々は少しずつ彼らの考えていること、話したいと思っていることがわかってくるようになりました。これらのことが徐々に理解できるようになっていくと、その分だけ石倉さんの物語が見てくるようになりました。
我々三人が撮ったものは「日常」です。しかし、そこには確かに石倉さんが守ってきた大切なものがたくさんあります。
それを我々が未熟者ではありますが、自分達なりに映し出してみました。

企画・監督・編集:植村拓巳

メインビジュアル

くらら

予告編