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再・生

再・生

2023|31min|ドラマ

イントロダクション

東京で医学部に通っている優菜は、大学でのストレスの影響で自傷行為を繰り返し、実家の祖父母の家へと戻ることになった。一方で市松人形の職人である祖父の慎は、脳卒中の後遺症で利き手が動かず、思うように仕事ができずにいた。博物館から先代が手掛けた人形の修理の依頼が舞い込んだことをきっかけに、二人はぶつかりながら もそれぞれ前に進んでいく決心をする。

本作の脚本兼監督を務めたのは留学生の李楚哲。物語をより良い物にするために演出、脚本の指導講師と幾度となく打ち合わせを行い、演出部内に「シナリオ部」という日本語直しや校閲などを中心に行うといった部署を設置した。本読みや段取りでも表現として違和感が無いかなど、俳優部とともに綿密に話し合い物語を仕上げた。

撮影現場では、雨降らしの際にどのようにすれば雨にリアリティを持たせられるか意見の交換を行った。主人公が麦茶をこぼすシーンでは古民家を汚さず、かつリアルに見えるよう綿密にリハーサルを行い、加えて畳と桐箱に養生を厳重に行うなどといった試行錯誤行った。劇中で使用されている市松人形は、創業102年の市松人形師の岩村松乾齋東光さんに監修をしていただいた。

田舎に残る夏の源風景、豊かな自然をロケーションと音で映し、どこか懐かしい雰囲気を描き出す。心と身体に傷を負った主人公優菜と周囲の人々…壊れかけた市松人形の再生を描くストーリー。

ストーリー

東京で医学部へ通っていた森山優菜は大学でのストレスから、リストカットを繰り返してしまう。休学して田舎の実家へ帰ると、彼女を待っていたのは、職人かたぎの厳しい祖父と優しい祖母、そして豊かな自然だった。
森山家は伝統的な市松人形の技法を受け継いできた職人の家であった。しかし、人形師の祖父は脳卒中の後遺症で利き手がいうことをきかず、仕事がままならなかった。祖父は休学した優菜を快く思っていないため、微妙な距離感が続く。
そんな中、博物館からある壊れた人形の修理を依頼される。それは、先人の市松人形師、優菜の曽祖父が手がけた人形だった。
人形を受け取った祖父は自暴自棄になって酒をあおっていた。脳卒中で手がいうことを聞かないだけでなく、人形の着物は焼けており、古いものであるために取り替えるための同じ種類の生地が見つからないからである。
優菜は旧友や自然との関わりを通して心の平静を取り戻していき、自らと対峙して変わるべく祖父と共に人形を直す決意をする。
二人で行うことで、削れた腕、紛失した足など、人形本体の修復は順調に進むも、しかし肝心の着物は見つからない。そこへ優菜が同じ着物をまとった人形を持って来る。ふと幼少期の頃の物を片付けていた時に見つけた人形である。それは父が優菜のために作ったものだった。祖父は反対するも、次へ進むためにその人形の着物を使い修理することを決める。

キャスト

杉浦楓香
針原滋
志水季里子
西村佳祐
加藤大騎
上之園菜那
竹中寛幸

スタッフ

脚本・監督:李楚哲
プロデューサー:及川玄大
音楽:王地
制作助手:佐藤輝、劉鈺卓、永井達也
助監督:盧子牛、劉寿熠、矢野拳史郎
撮影:陳鴻傑
撮影助手:康譯心、李志偉、張荦霖
照明:余懿恒
照明助手:原夢之助、高木未樹
録音:陳恺聞
録音助手:張家瑋、王飄逸、朱家宝、足立一真、松原稜
編集:洪賢美
編集助手:張耀倩、葉芷妍、近藤智揮
メイク:井川成子
人形監修・指導:四代目 松乾齋東光
車両:小林孝道、安部宗晴


グレーディング:(株)IMAGICAエンタテインメントメディアサービス 河原夏子
キャスト協力:株式会社エイジアプロモーション、㈱アルファセレクション、夢工房、エクセルヒューマンエイジェンシー、GFA
美術協力:高津装飾美術、日映装飾美術
車両協力:バルクレンタカーアンドセールス
タイトル協力:劉志傑
エキストラ協力:朱家宝、張耀倩、佐藤輝、劉寿熠、張俊杰、朱浩宇
ロケ協力:エピナール、上大島キャンプ場、メルシィ商店、p-studio 小石川病院2F、ベルファース登戸

メッセージ

私の友人にはフェミニズムを主張する人が多く、「女性の力とは一体なんだろうか」という相談をよく受けるのですが、このシナリオはその時に思いついたことを書き出したものです。
今の社会的な環境では、女性の強みを「強み」として認めないところが多くあります。女性に多い特色が、弱さの表れとして認識されることもたくさんあります。女性の長所を常に表す「優しい」という言葉さえ、褒め言葉ではないと思う人が少なくありません。そして、家庭に関わる女性の貢献は、社会的職能としてはよく無視されます。
でも私は、それは女性のせいでも、「優しさ」のせいでも、「家庭」という存在のせいでもないと思います。
だから私は、女性の力を活かして、優しい家庭の雰囲気で立ち直り、家族を救いながら自分自身が成長する物語を書きたいと思います。
男性の根性論は限界があると思います。だから弱いところを伸ばさなくても、疲れた時に少し休んでも、苦しい時に無理しなくても、いいんです。これは、主人公優菜の祖母が助言したことであり、私がみんなに言いたいところなんです。優しい力でも人を癒せると思います。
皆さんも是非、苦しくて絶望した時に、優菜のように一回心と体を緩めてみましょう。この作品で優しい力を伝えて、より多くの人を癒すことができたら幸いだと考えております。

脚本・監督:李楚哲

メインビジュアル

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予告編

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