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困難を生きて

困難を生きて

2023|36min|ドキュメンタリー

イントロダクション

今の中国は、アメリカと並ぶ世界の二大大国へと成長し続けている。その著しい発展を中国の主要メディアでは「中華民族の偉大なる復興」と称している。1949年の建国以来、急速な経済変革や、それに伴う政治運動は、人々に大きな影響を与えてきた。都市と農村の間で移動を迫られた者も少なくない。貧困から逃れるため住み慣れた郷里を離れた者たちもいる。「偉大なる復興」の影で様々な困難を生きたものたちは無視されてきたのかもしれない。中国甘肃省かんしゅくしょう酒泉市しゅうぜんし瓜州县かしゅうけん である小宛しょうえん農場は、50年代、政治犯人を監禁した砂漠である。60年代からは共産党の基礎経済建設を呼応するため、多くの農民と軍人が半強制に移住させられ、開墾をはじめた。今は主な綿花と麦を生産する農場となっている。その歩みも平坦ではない。急速な経済発展に巻き込まれながら浮き沈みを繰り返し、人それぞれ違う苦難があった。生活レベルは改善しても、彼らの苦難を根底的に癒すことはない。中国に暮らす個人の生活史は、現代中国そのものの歴史でもある。

ストーリー

中国甘肃省かんしゅくしょう酒泉市しゅうぜんし瓜州县かしゅうけんにある小宛しょうえん農場は、50年代は政治犯を監禁した砂漠であった。刑務所であった痕跡が今も残され、朽ち果てた銃座も認められた。60年代からは共産党の基礎経済建設に呼応するため、多くの農民や軍人が半強制的に移転させられ、開墾を余儀なくされた。70年を経て、今は主な綿花と麦を生産する農場となっている。中国の経済は急速に発展していったが、彼らの多くは農村に取り残され、厳しい生活を余儀なくされている。幸いにも農村から離れたものにも、かつての厳しい生活で刻まれた苦難の傷が拭い去られないまま、今も彼らを苛んでいる。人それぞれ違う苦難があった。経済レベルは向上しても、彼らの苦しみは根付いたまま変わらない。 60年代中印戦争に参加した軍人は、忠実な党員でもあった。激しい政治運動の時代に農場に移住させられ、貧しい土地での綿花栽培で一生を終えた。彼が党員だった証明書が今も残されている。彼の息子は綿花農業を引き継いで続けながら、苦難を生きた実直な父への敬意は失わない。80年代により豊かな収穫を得るために移住してきた農民は、20年も黙々と綿花栽培を続けてきたが、農場で公平な扱いを受けず苦しみは続いた。先代から農場を開墾してきた老女は、現代的なたたずまいの娘に支えられながら、酸素吸入が手放せない現在の病苦と、その要因でもある辛い農場労働の記憶に思いを巡らせる。

スタッフ

プロデューサー:リュウ ギョクシン
監督・撮影・録音・編集:ハン イ
編集:トウ ブンケイ、リュウ キンホウ
制作:キン ホウヨウ


取材協力:呉俊瑞、単慶印、魏辛軍、李季芳、喬雪萍、韓小強、龐有存、祁禄堂、馬建萍、許有田、農墾荘園
使用曲:「life ahead」作曲 sergei stern
音楽協力:羅時禎、premium beat

メッセージ

中国人は土地に対して切っても切れない感情を持っています。特殊な時代を背景に、小宛農場は典型的な中国の農場として、この土地で何世代にもわたる夢、努力、希望を目の当たりにしてきました。これは政治を題材とした作品ではありません。 撮影プロセスは、過去と現在のそれぞれの経験を記録し、オーラルヒストリーを使用してそれぞれの現在の生活状況を組み合わせて、最も真実に近い内容を可能な限り復元したものです。私は善と悪、是と非を取り上げています。政治とは関係なく、人間の本性と関わっています。人間の本性のようなトピックを避けるべきではありません。それは意図的な回避であり、回避は悪をより蔓延させるだけです。

監督・撮影・録音・編集:ハン イ

メインビジュアル

困難を生きて

予告編