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映画監督

橋本 光二郎

hashimoto kojiro
100年後、異国の少年を
励ます映画になるかもしれない

2015年の年末に公開され、
大ヒットを記録した
青春映画『orange ─オレンジ─』。
メガホンを取ったのは、
名監督たちの作品群で
助監督の経験を積み上げ、
この作品で長編デビューを果たした
橋本光二郎さん。
作品づくりの根底にあるものは、
映画という文化への期待と信頼だ。

プロフィール

橋本 光二郎

hashimoto kojiro

1973年東京都生まれ。日本映画学校第9期脚本演出コース1997年卒。相米慎二、滝田洋二郎、冨樫森などの作品で助監督を務める。初のチーフ助監督は『ニライカナイからの手紙』(05、熊澤尚人監督)。深夜ドラマの演出作品に『Piece』『終電バイバイ』などがある。

【おもな作品】
『orange -オレンジ-』(15)
『羊と鋼の森』(18)
雪の華』(19)

近作情報

  • 小さな恋のうた

    小さな恋のうた

    監督/橋本光二郎 脚本/平田研也 出演/佐野勇斗 森永悠希 山田杏奈 眞栄田郷敦 鈴木仁 配給/東映 (19/日本/123min)
    MONGOL800のヒット曲「小さな恋のうた」から生まれた作品。日本とアメリカ、フェンスで隔てられたふたつの〝国〟が存在する沖縄を舞台に、バンドに情熱をかけた若者たちの青春を描く。DVD発売中/東映ビデオ

    ©2019「小さな恋のうた」製作委員会

     
    公式サイト
    http://www.chiikoi.com

僕が通っていた頃の日本映画学校(現・日本映画大学)は実習がメインで、職業訓練校のようなところがありました。おかげで、卒業してすぐ現場に入っても違和感がなかった。結果オーライ、ってだけなんですけど(笑)。

映画をつくるためには
こういう作業も必要なのか

実習では、たとえばクラスで2本作品をつくる。監督にはふたりしかなれないってことです。監督に選ばれなかったら、監督以外の仕事を受け持つということ。

それは録音部や助監督、プロデューサー的な役回りなど。そうなったときに、すねちゃう人もいるんです、「別にそういうことがやりたくて入学したわけじゃないのに」って。

そこで「映画をつくるためにはこういう作業も必要なんだ」って覚悟を決めてやっていた人の方が、いまも業界で残っている気がします。

実際のところで言うと、1年目の短編はクラス全員が監督を務めた記憶があります。2年目以降、卒業までに、機会はおそらく6回くらいあったと思うんですけど、僕が監督に選ばれたのはドキュメンタリー実習の1本だけでした。

卒業制作はクラスのみんなが書いた脚本から2本を選んで、それをつくる。脚本を採用された人が監督を務めるわけですが、僕の脚本は選ばれなかったので監督はできませんでした。

映画=エンターテイメントの
パーツのひとつになりたい

在学中に学んだことは「才能のあるヤツって、いるんだな」ってことです。同じ授業を受けているのに、明らかに上手い人や才能を感じる人がいる。そして「才能だけでやっていけるわけでもないんだな」とも気づかされました。

人間関係が築けない限り、「この人と一緒に撮りたい」と思われることはないじゃないですか。映画を撮るという団体行動を経て、人間関係の縮図みたいなものが際立って見えてきたんです。

幼い頃から才能に目覚めていく人もいるなか、僕は東京の下町の平凡な家庭に生まれて、平凡な生活を送ってきた。だからといって平凡に就職するのは嫌だなと思ったとき、そこに映画があった。

自分が監督として作品を発表していけたら最高ですけど、それよりまず、映画という文化の一部でありたいと思ったことがすべての発端です。歯車のひとつにでもなれれば、と思ったんです。

嗜好はSF、ミュージカル、
そして、人間ドラマへと

映画を好きになったのは中学生の頃です。それまでは親と行くものだったけど、友だちと一緒とか、ひとりで観に行くようになった。そのうちレンタルビデオ屋が普及して、昔の作品がいくらでも観られるようになってきた。

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※当時と違い、現在の日本映画大学では、
 コース名称と内容が変わったり、
 開講されていないコースがあります。