名作コミックを原作者・井上雄彦さん自らが
メガホンを取って映画化。
果たして『THE FIRST SLAM DUNK』は
大ヒットを記録した。
十数年もの期間、本作と関わってきた
編集の瀧田さんには
譲れないこだわりがある。
プロフィール
瀧田 隆一
83年東京都生まれ。日本映画学校20期編集コース2008年卒業。アクティブシネクラブを経てフリーランスに。22年よりKASSENに加入。
【おもな作品】
ドラマ/映画『鈴木先生』(11、13)
『リトル・フォレスト』シリーズ(14、15)
『羊と鋼の森』(18)
『ちょっと思い出しただけ』(22)
『THE FIRST SLAM DUNK』(22)
近作情報
神回
監督・脚本/中村貴一朗 出演/青木柚 坂ノ上茜 配給/東映ビデオ (23/日本/88min)
夏休み。人けの少ない校舎で、高校生の沖芝樹は、加藤恵那と文化祭の打合せを始める。やがて樹は、打合せを始めた時間に戻っていることに気づく。時間のループから何とか抜け出そうと奮闘する樹だったが──。新たな才能を発掘するプロジェクト「TOEI VIDEO NEW CINEMA FACTORY」の第1回製作作品。
7/21~新宿シネマカリテほか全国順次公開©2023 東映ビデオ
──映画少年だったんですか?
「大の映画好き」というほどではないですが、高校生くらいからビデオをレンタルするようになりました。バラエティ番組やミュージックビデオなどもよく観ていたし、自分で撮影した素材を編集する作業も好きでした。
よく観ていた映画は『スターウォーズ』や『バック・トゥ・ザ・フィーチャー』など。それと岩井俊二監督の作品とかですね。ただ日本映画学校(現・日本映画大学)に入ってみたら、まわりの学生の映画知識がすごくて「全然かなわない」と感じましたけど(笑)。
──日本映画学校を選ばれたのはなぜですか?
「したいことがとくにないのに大学に行くのはどうだろう」と思って、高校を卒業したあと、カナダのバングーバーへ2年ほど語学留学したんです。「あわよくば海外で仕事を」とも考えていたのですが、行ってみたら逆に日本文化が気になり始めました。
やっぱり日本で映像の仕事がしたいっと思ったときに母の知人から「こういう学校があるよ」と紹介してもらったことがきっかけです。今村昌平という世界的な監督が校長だったことも後押しになりました。
腹の底をさらし合うなんて
経験したことがなかった
──2年次は編集コースを選ばれましたね。
当初は監督やプロデューサーに憧れていたのですが、やってみると撮影もライティングも、どの役割も楽しい。編集コースを選んだのは「合っている」という直感があったからですが、授業を通して、0から1をつくることよりも、「こう思うんだけど、どうしたらいいか」というお題から発想していく作業が楽しいと感じていたことが大きいです。
フィルムを切って繋げるとか、ひとりの作業が好きだったということもありました。編集によって作品の印象はガラリと変わるし、それを観たみんなが喜んでくれたことにも刺激を受けたんでしょうね。