『進撃の巨人』『BANANAFISH』
『呪術廻戦』『チェンソーマン』……。
瀬古浩司さんが脚本を手がけた
ヒットアニメ、話題のアニメは
枚挙にいとまがない。
時代の寵児とも言えるつくり手の
意外にも「行き当たりばったり」な軌跡。
プロフィール
瀬古 浩司
81年愛知県生まれ。日本映画学校15期 映画演出コース2003年卒。GAINAXを経てフリーに。
【おもな作品】
『進撃の巨人』シリーズ(13~23)
『BANANAFISH』(18)
『呪術廻戦』シリーズ(20〜)
『チェンソーマン』(22〜)
『WINDBREAKER』(24)
『ダンダダン』(24)
INFORMATION
ドロヘドロ
原作/林田球(小学館「ゲッサン」刊) 監督/林祐一郎 シリーズ構成/瀬古浩司 声の出演/高木渉 近藤玲奈 堀内賢雄 細谷佳正 小林ゆう 高梨謙吾 富田美憂 アニメーション制作/MAPPA (20/日本/全12話)
魔法によって顔をトカゲに変えられた記憶喪失の男・カイマンが、相棒・ニカイドウとともに、顔と記憶を取り戻す姿を描くダーク・ファンタジー。配信シリーズとして続編の制作が決定している。Blu-ray BOX 上下巻 通常版 ともに¥17,800+税/東宝
公式サイト
https://dorohedoro.net/
──もともと映画がお好きだったんですか。
母方の親戚に映画マニアの叔父さんという人がいまして、その叔父さんがダビングしたビデオが大量に家にあって、物心つく頃からのめり込んで観ていましたね。『グーニーズ』 『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』 『スター・ウォーズ』 『スーパーマンⅡ 冒険篇』 『恐怖の報酬』 『ハタリ!』 『シャレード』 『荒野の七人』 『5つの銅貨』などなど……。
で、もうひとつの転機は中学校です。学生帽をしっかりかぶっていないとダメ、授業中にちょっとふざけたら椅子の上で正座、髪の毛が規定より少しでも長いとクラスメイトの前で切られる。体罰も普通にあったし、とにかく締めつけが厳しくて特等少年院みたいな学校でした。それで、映画を観たり漫画を読んだり音楽を聴いたりして、フィクションの世界に逃げ込むことで自分を保っていました。
──高校はどうだったんですか?
一転、すごく自由でした。ヴィレッジヴァンガードや、ちょっと背伸びしてシネマスコーレに通ったり、漫画喫茶に入り浸ったり、ライブハウスにAIRやナンバーガール、スーパーカー、ヤングパンチとかを観に行ったりして遊びまくった記憶があります。
それでいよいよ進学を検討する時期になるんですが、頭も悪かったし、自分のやりたいことはなんだろうと考えて「映画だ」と思い、映画の学校を探し始めました。すると父親が日本映画学校(現・日本映画大学)に関する新聞誌面を見かけて、「こんなのあるよ」と。読むと、映画学校卒業後に提携先のオーストラリアの大学に編入できると書いてある。
──映画に関する大学ですか?
全然関係ないです。経緯は不明ですが、僕が入学する年くらいから始まった制度らしくて、それも込みで「面白そうだ」と思いました。あとは件の映画マニアの叔父さんが川島作品や今村作品が好きで、その影響で僕も今村作品を何本か観ていたということもありましたね。
──それで日本映画学校に入学したわけですね。
はい。入って一番驚いたのは、「映画をつくるのって、こんなに超大変なんだ」ということでした。
これはちょっと
自分には合わないな
ロケ地を選んで許可を取って、役者さんの衣装とか小道具も用意して、カメラもフィルムなので「露出がどう」とか「フィートがなんたら」とか、もうわけがわからない。で、いざ撮影となったら室内なら照明を立てるんですが、「カメラ位置変えます」とか「次のカットにいきます」という度に照明を動かしてまたセッティングして……、ワンカット撮るために数十分、下手すれば1時間以上かかるわけです。映像と音を別々に撮(録)るってことすら知らなかったので、いま考えると「ちょっとは調べてから行けよ」って自分でも思いますけど(笑)。
──でもその気づきのおかげで、より制作にのめり込んでいったわけですよね?
いや、かなり初期の段階で「う~ん、これはちょっと自分には合わないな」と思い始めました(笑)。