『ゴジラ-1.0』で
アメリカ音響効果監督組合主催による
ゴールデンリール賞の
外国語映画部門にノミネートされるなど、
国際的にも高い評価を得た井上奈津子さん。
どのように音響効果技師へと進んだのか、
その歩みを聞いた。
プロフィール
井上 奈津子
1985年広島県生まれ。日本映画大学19期 音響クリエイターコース2007年卒。アルカブースに入社し、柴崎憲治に師事。現在はPlayful・Sound所属。
【おもな作品】
『さがす』(22)
『窓辺にて』(22)
『ゴジラ-1.0』(23)
『ゼンブ・オブ・トーキョー』(24)
『知らないカノジョ』(25)
近作情報
おいしくて泣くとき
監督/横尾初喜 原作/森沢明夫 脚本/いとう菜のは 出演/長尾謙杜 當真あみ / 安田顕 ディーン・フジオカ ほか 配給/松竹 (25/日本/109min)
自ら営む食堂で、子ども食堂も運営している心也の脳裏には30年前の日々が焼き付いている──。幼い頃に母親を亡くした心也と、家に居場所がない夕花。ふたりは「ひま部」を結成し、互いの距離を縮めていく。ところがある事件が起こり──。25年4/4~全国公開©2025映画「おいしくて泣くとき」製作委員会
──音響効果とはどういうお仕事なのでしょう。
日本では、映像作品におけるセリフと音楽以外のすべての音を担当するのが音響効果技師の仕事になります。
──録音部との違いは?
録音部さんは、現場での録音作業から、それを製音して仕上げまでを担当されることが多いです。私たちは現場に行くことはなく、ポスプロから参加します。
──フォーリーもやられるのですか。
そうです。フォーリーは膨大な作業量になるので、大勢のフォーリーアーティストとの共同作業になります。私自身、フォーリーのみで作品に関わることも少なくありません。
──日本では「音響効果」という肩書きの人はどれぐらいいるのでしょう。
フォーリー収録をして、環境音、単発音まで、すべてを付けてミックスまでする人は本当に少ないです。
──ひとつの作品で音響効果チームは何人いるんですか?
『ゴジラ-1.0』は特殊な作品なので多かったですが、通常はフォーリー作業を除くと、ほぼひとりないしふたりです。
エンターテイメント好きなのに
毛色の違う日本映画学校へ
──映画の仕事に就きたいと思ったきっかけは?
小学校4年生のときに、父親がヤン・デ・ボン監督の『スピード』をVHSで観せてくれました。これがいまでも私の一番好きな映画です。
そこから、なんとなく面白そうだし、自分が初めて味わったワクワクドキドキした映画の世界で将来仕事をしてみたいなとずっと憧れていました。