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アニメーション監督

小山 保徳

koyama yasunori
多くの人とともに
大きな仕事を成す

『ONE PIECE』視聴者から
「この回はいつもと違う」と声が上がった。
それは小山保徳さんが
コンテ演出を手がけた第1122話。
キャラクターの感情に寄り添った色遣いなど、
繊細かつダイナミックな演出が
なされていたのだ。
遅咲きを自認するつくり手の道のりをたどる。

プロフィール

小山 保徳

koyama yasunori

1976年東京都生まれ。日本映画学校11期 ビジュアルアーツコース1999年卒。 05年、東映アニメーションに入社。『ONE PIECE』には15年より演出として参加、第1031話(22)よりシリーズディレクターを務める。

【おもな作品】
トリコ』(演出助手、演出・11〜13)
金田一少年の事件簿R』(演出・15)
おしりたんてい』(演出・19)
ONE PIECE』(シリーズディレクター・22〜)

近作情報

  • テレビアニメ
    ONE PIECE

    原作/尾田栄一郎(集英社「週刊少年ジャンプ」連載) シリーズ構成/米村正二 声の出演/田中真弓 中井和哉 岡村明美 山口勝平 平田広明 大谷育江 山口由里子 木村昴 チョー 宝亀克寿 シリーズディレクター/伊藤聡伺 小山保徳 松實航 制作/フジテレビ 東映アニメーション (99〜/日本)
    ルフィを船長とする海賊〝麦わらの一味〟が仲間を増やしながら〝ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)〟を目指して続ける冒険を描く。2024年に放送25周年を迎えた国民的人気アニメ。エッグヘッド編は25年4月6日より夜11:15〜全国フジテレビ系列で放送中

    ©尾田栄一郎/集英社・フジテレビ・東映アニメーション

     
    公式サイト
    https://one-piece.com/

──肩書きは「アニメーション監督」でよろしいですか?

その通りですが、テレビアニメ『ONE PIECE』での表記は「シリーズディレクター」です。『ONE PIECE』は作品規模が大きいので、いま3人でシリーズディレクターをやっていて、そのうちのひとりが僕です。10人以上いる演出を取りまとめるポジションですね。

──3人の役割分担はあるんですか?

もちろん細かくは分担もありますけど、「シナリオはこの人」みたいな縦割りの分担はありません。基本的には3人全員でシナリオの打ち合わせに参加しますし、映像のチェックも一緒にやっています。アフレコやダビングなどの現場作業において分担が必要なときもありますが、監督陣の意思統一を計っていているので、誰がどこに出て行っても対応できるようにしています。

──いつからシリーズディレクターを?

2022年、『ワノ国編』(19〜23)の途中からです。3人のうちのひとりが別の作品に携わることになって、その抜けたところに入ることになりました。

半年をかけて映画を
撮った浪人時代

──映画少年だったんですか。

小学生のときはそれほどでもなかったですが、中学、高校になると、時間があれば映画ばかり観ていました。文芸坐など、名画座によく足を運んでいました。
洋画ももちろん観ましたが、日本映画がとくに好きで。ATGの特集を観たり。暗い映画を観ると気持ちが救われることがあるじゃないですか、「自分よりも暗い」みたいな(笑)。北野武監督など、90年代の日本映画も好きでした。

──自主映画も撮られていたそうですね。

撮ろうと思ったきっかけは『東京フィスト TOKYO FIST』です。もともと塚本監督の『鉄男』が大好きだったんですが、ぴあという雑誌のページの端に「塚本監督の新作『 BP(仮)』のエキストラ募集」という記事を見つけまして。高校の帰り道、友達と「行ってみようぜ」と学生服のまま後楽園ホールに駆けつけました。

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※当時と違い、現在の日本映画大学では、
 コース名称と内容が変わったり、
 開講されていないコースがあります。